イージーオーダー、パターンオーダー、フルオーダー、ハンドメイド
様々な種類のオーダースーツがありますが、混同されがち。
オーダースーツ業界でも定義が一致しないものもおおよそな分類を今回はご紹介。
※ここに紹介されれているものも絶対的な定義ではありません。
イージーオーダー・パターンオーダー
今日のオーダースーツのほとんどはこのシステムを採用。
一般的に体型補正があるのがイージーオーダー、ないのがパターンオーダーとされます。
用語としての定義はないので混同されがちです。
CADで基本型紙の図面から調整をするため、補正の自由度が高い。レーザーによる自動切り出し、機械縫い。(工場によって自動化レベルは違う)
肩のライン(なで肩・いかり肩)、出尻、平尻など一部の体型補正が可能。
釦、裏地などの選択でオリジナルの一着を仕立てる。
特に日本のイージーオーダー、パターンオーダーはかなり先進的で優れています。
標準体型の方が、フィッテイングをしっかり行えば見た目にはフルオーダーに並ぶスーツが仕上がる。
フルオーダー
イタリアではスミズーラとも呼ぶ。
イージーオーダー、パターンオーダーとの大きな違いがいは手書きで顧客ごとに型紙を作成、専門の職人による手裁断、手縫いと機械縫いを併用。機械の制限にとらわれないので自由度はかなり高い。職人によるアイロンワークも施されるので自然な立体感とフィット感がある。
手裁断は現状CADに比べ、体型補正の自由度が高い。
体型に難ありの方にはお勧め。
多くのブランド、店舗では動く箇所(曲線部)が手縫いとなる。袖付け、衿付け、ボタン付け、裏地付け、ゴージ、腰ポケットが手縫い。
袖付けが手付けなのでロープドが選択可能。
また針穴の小さなボタンは手付けの証となる。
また、縫製段階で中間プレスを多用するので立体的に仕上がる。中間プレス(アイロンワーク)は生地は熱と蒸気を当てることで変形するという熱可塑性を利用し胸の高さ、袖の前振り、肩線、肩先のイセ量を確保し可動箇所にゆとりを確保する。
直線部の縫製は機械縫いの方が綺麗なため、直線部やパンツは機械縫い。)機械縫いは納期短縮とコスト減。
ミシン縫いなので比較的品質が安定している。ただし、職人がミシンを使って作るため、職人によるバラつきがある。
一般的に仮縫い工程を入れることが多い。
ゲージの着せつけは、癖を見やすくする、完成イメージしやすくなる。
シャープかつ、可動部はハンドメイドで曲線線的でフィット感がありながらイセがストレスなく着用できる。
バランスに優れている。
フルハンドメイド
極めればフルハンドメイドといわれる、オーダースーツの「王様」というべき存在。
フルオーダーの縫う工程をすべて手縫いにしたパターン。
柔らかい生地の風合いを生かす。直線部ががたつくことがある。
フルオーダーから、ハ刺し、ボタンホール、パンツ、ステッチが手縫いとなる。
ハ刺しとは芯地と生地を糸で留めることをいう。これを「芯据え」ともいう。ジャケット一着に2000針
も縫い込むという非常に手間のかかる作業。
ハンドで「芯据え」を行うメリットは手縫いによる適度な「ゆとり」により自然のラペル返りとなる。
フルハンドのデメリットは、手縫いは縫いが甘い分、機械縫いに比べ耐久性に劣る。
曲線的でハンドメイド感を味わえる暖かい印象。
職人ごとに品質のばらつきがあるのがデメリット。